2003.12.1
 12月の初めになんと韓国の済州島(チェジュ)へ旅行に出かけることになる
2泊3日25人の団体で女性が3人、夫婦が一組という中高年団体で、名古屋から出発
主たる目的は、ゴルフ、続いて観光、そしてカジノという旅なのだが

私の場合は、山登りが主たる目的となる
以前に一度ゴルフで済州島を訪れた時に、島の真ん中にうっすらと見えるなだらかな山を眺め
いつかは、登ってみたいと思っていた山・・・・その名は「ハンラ山」(漢拏山)、そこに今回登るのだ!
旅行社と、主催者側には無理を言い、単独登山を何とか許してもらい、計画を立てる
とは言っても、日本で山岳地図も、登山案内も無いので、インターネットをフルに活用し情報を得る
しかし、12月の時期にどのルートが登れるのかよくわからず、とりあえず、冬山を想定し
軽アイゼン、防寒カッパ、寝袋、セーター、パッチ、ロープなどをそろえ、中型のザックはいっぱいとなる
いくらインターネットで調べても、どうもルートがよくわからない
登山禁止になったり、解除になったりで、2003年の情報がない
調べるうちに、頂上(1950m)までいけるルートと、別の一段低い峰(ウィッセオルム 1700m)
まで行くルートしかなく、その二つの峰は登山道でつながっていないらしい、という事まではわかる。

そんな程度の情報で、お前は単独で行くのかよ、と、自問自答した末に
海外で使える携帯電話を持っていくことにし、3日前に申し込み名古屋空港にて受け取る
この電話は、一日1,000円の基本使用料で、韓国の場合日本へ発信すると
一分250円、受信すると150円かかるそうだ
それも、2泊三日の場合、中日の一日のみの使用料の1,000円だけというからお徳だ
単独で山登りする場合は、ぜひ携行したほうがよいだろう
 
名古屋からたったの一時間45分でチェジュエアポートに着く

海に面したいかにも南国風のエアーポート

つい鼻歌で「ずずずずずんずん!ズズズズズンズン!今〜朝のつ〜ば〜さ〜は特別に〜チャカチャン・・・」
などと、口ずさみ早くもチェジュモードに入る
 
飛行場からズームで眺める、ハンラ山真ん中の高い山が山頂、左の低いほうがウィッセオルムかな?

チェジュまで来きてしまうと12月のはじめの会社の忙しさなど、消えうせ
目の前はるか彼方のハンラ山に思いをはせる

観光組みと、ゴルフ組みにわかれ、今日のところは観光バスに乗る
昼飯は、楽しみにしていた石焼ビビンバ・・・・ん!

といいながら、猫舌が熱がる間もなくほぼ食べ終え
うまい?そうでもない?これ何?という味わい!
どうしたらもっと美味いのかと考え、まだ熱い石の内側に薄くご飯を塗りつけ
カリカリに焦がして食べると、こりゃ又美味!!
竜の形をした岩を眺め、三姓穴等・・を観光しチェジュグランドホテルへ

  
三人の神様が出現した神秘の穴                       どこにもある変なおじさん(トルハルハン)の電話ボックス



竜頭岩は漢拏山から流れ出た溶岩が海で固まってできたもので、漢拏山の山頂にある白鹿潭(ペンノクタン)に棲んでいた竜が、海で昇天しようとしたところ、天帝の怒りに触れて岩になってしまったという伝説がある。これから登るハンラ山の頂上にはこの、白鹿譚があると思うといっそう感慨深いものがある。
 惜しいかな、この岩の向こうににょっきりと、大きなホテルが建ちまったく景観を損ねている
 日本の景勝地では考えられないような、風景だ。できるだけそのホテルが写らないように、アングルを決めて写真を撮ってもらう


夜は、焼肉 店の名がなんと「九億兆・・」忘れたがすごい名前だ
これは、美味かった
しかし、この脂分の少ないカルビが、なぜここまで柔らかくジューシーなのか不思議だ
何か秘伝があるのだろう、これについては後日、解明される事となる
どぶろくを、適量飲み、明日の準備を整え早々と就寝モードに入る

2日目、前日にガイドにタクシーの手配とコースの情報を頼んでおいたので7時半にロビーに降りる
山頂までいけるのは「城板岳コース」(9.6キロ、4.5時間)と「観音寺コース」(8.7キロ、5時間)
2つのコースということがわかる
しかし、ここで気づくべきだった
城板岳コースと観音寺コースの距離と時間の関係を・・・・・
距離が短いのに時間が長いのだ、つまり急坂なのだ!
しかし、タクシードライバーの提案もあり城板岳コースを登り観音寺コースを下ることにする
タクシードライバーは日本語べらべらの70歳位の個人タクシーの方で大変親切そうだ
私の、重装備を見て、きっと、歩くのも早そうだと考えたらしく、
この長い18キロのコースを勧めてくれたらしい
見かけで判断された私は、後ほど、かなり苦戦を強いられることとなる
何はともあれ、頂上はすでに雪と決めつけアイゼンを持ち、「ハンラ山にしては重装備」
で、近くのコンビニでおにぎり二つと、チョコレート、味付けゆで卵2個とペットボトルの水2本を買い
タクシーに乗り込む
チェジュカントリーの横を通りぬけ、城板岳コースの入り口へ着く

すばらしい地図をもらう、ハングル、漢字、カタカナ等を使用し大変解りやすいクリックすると拡大します


8:10 入山料1000?ウォンを払い、山の案内図をもらいいざ出発
出発の際に、林さん(タクシードライバー)に山頂に着いたら城板岳を戻るか観音寺に行くか連絡します
と言ったところ「大丈夫ですよ、石田さんはベテランのようですから、観音寺の出口で待っています
韓国の、ことわざにあるように、便りの無いのは無事の証拠ですから・・・・・・」と言われ、いやおうなしに
観音寺を降りることとなる。これが又、誤算でもあった

天気は最高、だが標高750メートルの登り口はさすがにこの時間帯は寒い
肌にさす風が冷たく昨日の夜のどぶろくによる頭痛がすーっと消えていくようだ
よく整備された登山道と言うより、板張りの散策路が続く
さすがに国立公園だけのことはある、自然保護の為にはかなり金をかけている

  

途中の休憩所にはソーラーの換気扇の付いたトイレが完備され、立ちションなどできる雰囲気では無い
歩き始めると、後ろからひたひたと、と言うよりがやがや、わいわいと、韓国人の男女が登ってくる
一組のカップルは、上下のスキーウェアーで手をつなぎ、リュックサックなど何も持たず登ってくる
同年代の男性はコンビニのビニール袋に弁当を入れ片手に持ち、運動靴で追い越していく
更に、腰にジャンパーを巻き、軽装で40歳くらいの女性グループが大騒ぎしながら更に追い越してゆく
とにかく、早いのなんのって、さすが、キムチパワーは違うなどと思いながら
ついつい、足早になってしまう。とにかく、背中の荷物が場違い!!!!!重さが徐々に効いてくる
韓国人に負けじと気合を入れたために、かなりハイペースで登ってしまった
  

始めの4キロを約一時間の登りだからやはり早い
この休憩所を過ぎるといよいよ登りに入る
速すぎた韓国人もそろそろ遅れ始めあちこちで休憩をするようになる
みかんをもらう、韓国語がわからないので、日本語でお礼を言うしかない
こちらも、息が苦しいのでリュックサックの中から会話の本を出すにも面倒で・・・・
  
                                  山頂に向け、自分でハイポーズ

と言うようなことで、頂上1950メートルの山頂に12時着
   


   
山頂?は、すっかり板張りになり、休憩しやすい        このように満々と水をたたえたペンノクタンを見たかった    

山頂の白鹿潭(ペンノクタム)は、池になっていると思ったのにごらんのような涸れ泉状態
このような状態になったのは、原因として二つの考え方がある、とタクシードライバーより聞く
一つは、町で地下水をあまりにも汲み上げたために、地下水流が変わり涸れてしまったと、山の人は言い
町の人は、山に登る人が多く、荒れたしまった為に山の保水力が落ち涸れてしまったと言うが
どちらだろうか? そんなこともあり議論の末、結局登山禁止等の処置が取られたようだ
タクシードライバーの林(リン)さんいわく、なんか変だな?と


山頂はどうもパノラマ写真の左の峰のようだが、柵があって入れない

山頂と思われるところをバックに写真を一枚撮ってもらい、おにぎりを食べ、水を飲み下りに備えて休憩する
もうすでに、この時点で、実は足が痛くなってしまっていたのだ
それでも3時には、観音寺のゲートに到着できるものと思っていたので、大好きな下りに入る
まあ、登りと同じようなコースだろうと、たかをくくって、
楽勝〜〜〜などとうそぶきながら下り始めるも
ところがどっこい・・・・八ヶ岳にも無いような急なくだりが待っていたのだ
これは、まずい、30分も降りないうちに右のふくらはぎに疲労の為の筋肉痛が起こり始める
あと、8キロもある
以前、八ヶ岳で硫黄から根石、天狗そして御殿の湯のコースを
5時間で単独で歩いた時と同じ状況が起き始めてきた
どうも、無理をしたときは5時間が限度かなと思ってはいたのだが
あの、韓国人パワーについつられて、オーバーペースになり、足に負担がきていたのに違いない
  

もうこのあたりになると、両足が怪しくなる
城板岳コースはあれほどにぎわっていたのに、観音寺コースはほとんど人がいない
夕暮れまでに、つけるだろうかと、不安がよぎる
大嫌いな、階段状の登山道があまりにも長い
  

このあたりを境に急坂とは別れを告げるのだが、安心したのは早かった
なんと、沢を3回も越えていくコースになっている為に
川に下り、水のない川を渡り、又次の山へ登るという過酷な運命が待ち受けているとは・・・・
鎖にぶる下がりながら川まで降り又登る
ヒマラヤの二の舞だ!それでも、後ろを向いたり、横向きで降りたり手を突いたりしながら
あと、3キロのあたりまで来るとやっと、平らなコースになってくる
そこで、後ろから来る韓国人家族をやり過ごそうとすると
私と同年代の父親らしき男性も立ち止まり家族は先に行ったのに、行こうとしない
どうぞと、手招きするもニコニコしているだけで行こうとしない
じゃあ私が!と言うことでにっこり笑いかけ、最後の坂(と思われる)を降り始めると
すぐ後ろから、ついてくるではないか、こっちは足が痛いのでゆっくり降りようと思っていたのに
又、あおられるような形になり、ついつい30分ほど夢中で下ってしまった
途中で、身振り手振りで話をし韓国の釜山の近くの町から家族三人で来たということがわかる
何せ、英語も通じないので会話の仕様がない、
だいぶ、平らなところになり足も楽になったので、二人で休憩(親しくなった)をしていると
下に向かって大きな声で、息子を呼んでいる
息子がすぐ下で心配して待っていたらしく、韓国語(正確に言うと日本語じゃない言葉)で会話をしていた
最初は、ほとんど人が歩いていない山道で、すぐ後ろから付いてこられると本当に嫌な気持ちだったが
どうも、私の歩き方が変だったので、心配してずっと、付いてきてくれたようだったのだ
一瞬でも、怖いなどと誤解をしてごめんなさいと反省する、友好的&人なつっこいのだ
韓国人が一生に一度は登りたいと思っている神の山「ハンラ山」に登る人で悪い人がいるわけ無いわな!
こうして、4時に観音寺の登山口まで、やっとたどり着く
観音寺のゲートでは林さんが心配してず〜〜と午後一時から待っていてくれたそうだ
降りてくる登山客に私の風体を伝え、位置と状況を想像しながら待っていてくれたのだ
早く歩けそうな人だから2時頃には下りてくるか知れないと思っていたらしく
「遅すぎる、何か途中で・・・」と思い、何回も電話をくれたそうだが
昨夜の、携帯の充電が足りず、もしやのときのために備え、電源を切っておいてしまったのだ
ガイドさんも心配して何度も電話をくれたのに・・・・・ごめんなさい

ということで、18.3キロ8時間の山行きは無事終わり
ちなみに、この時期のハンラ山は、雪なし

反省:単独山行きの時は、自分のペースと案内図にある時間でゆっくり走破すること
    今回の場合は、6時に出発し休憩も入れて10時間のコースにするべきである

この日は、海鮮料理
相変わらずの美味いどぶろくをたらふく飲み、ばたんキュウでご就寝

翌日は、目的を果たした為、足は痛くて階段の上り下りはきつかったけれど、爽快、大満足
大好きな韓国のりを買い帰路につく
     

次回は、ウィッセオルムの短いコースをゆっくり景色を楽しみながら行ってみたいと
夕日を眺めながら夢をはせ、うとうとする  
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